「もの」ではなく「機能」を売る(日経エコロジー2006年4月号)

製品を売るのではなく、その機能を提供する「サービサイジング」。
リデュースを推進するビジネスモデルとして注目を集めている。

サービサイジングは、米国で生まれた言葉で、欧州では製品サービスシステム(PSS)と呼ぶ。「コストダウンと付加価値の高いサービスの提供を競争力の源泉とするという経済原理に基づく発想が出発点。すべてが環境負荷の削減につながるわけではないが、資源効率を大幅に高める可能性を持つビジネスモデルも多い」(群嶌孝同志社大学経済学部教授)

例えば、蛍光灯を販売するのではなく、「あかり」という機能を提供する松下電器グループの「あかり安心サービス」は、先進的な取組みとして有名だ。一般に、製品寿命が長ければ、買い替え需要は伸び悩む。しかし、あかりという機能を提供するなら、製品寿命が伸びるほど、コスト削減につながり、収益性が高まる。長寿命化と売り上げ拡大が両立する格好のケースといえる。

環境対策として採用する企業も多く、2002年4月のサービス開始以来、顧客を順調に増やしている。今年3月には契約数3600事業所に達する見込だ。昨年3月の1006事業所から、1年間で3.6倍という高い伸び率が、関心の高さを表している。

経済産業省も、環境配慮型ビジネスを拡大する有効な考え方として注目。「グリーン・サービサイジングモデル事業」を2005年度からスタートさせた。頭に付けた「グリーン」には、環境対策に有効なサービサイジングを後押しするという意味を込めた。

中小企業やNPO法人に絞って募集した初年度は、ユニフォームや古瓶のリユースなど3つの事業が採択された。中でも、異彩を放っているのが、廃棄物リサイクル・コンサルタント会社のアタミ(東京都千代田区)が取り組んでいる木製遊具のリース事業だ。

有効利用されていない間伐材などの森林資源を活用し、積み木などの木製遊具を製造。幼稚園や保育園などにリースする。高くて手に入れにくい木製遊具を子供たちに安く提供すると同時に、過疎が進む地域の活性化にもつなげる狙いがある。まだ試験段階のため、リース料金も決まっておらず、採算が取れる事業かどうか予測はつかない。だが、将来は商業施設や公共施設などにリース先を広げる構想もある。

環境の視点からのサービサイジングの取組みはまだ始まったばかり。定義や範囲などについても、様々な議論がある状況だ。しかし、リデュースの必要性が高まる中、ものから機能への発想転換が重要になることは間違いない。

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