設立の趣旨

 一つの立方体の縦・横・高さ方向に、それぞれを半分に切ると、2の3乗の8つの立方体に分かれます。同じ理屈で、粒子径1mmの粒子を1μの粒にまで粉砕すると、10の3乗の3乗である10の9乗個の粒に分割され、更に、1nmの粒にまで粉砕すると、10の6乗の3乗、即ち10の18乗個の粒ができ上がります。

 勿論、この力は、太陽光や風力などの様に、他のエネルギーに変換して使うことはできません。ただ、ある目的を達成するために、現在大きなエネルギーを使っている工程を、ナノ粒子を用いることで省略できれば、その結果として省エネを実現することはできます。
 例えば、金属同士を繋ぐ接合では、一般にはハンダが使われていますが、ステンレスを始め、軽量化や耐熱化などに使われている各種の特殊合金には、ハンダは使えません。そのため、現在は電気溶接など大きなエネルギーを使って接合しています。この特殊金属の接合にナノ粒子の凝集力を生かせれば、電気溶接などの工程は省けます。
 また、金属やプラスチックなどの部材の表面被覆の工程にも多大なエネルギーが使われています。表面被覆では一般的には電気メッキが使われていますが、エポキシ樹脂などの絶縁物では電気メッキは使えません。そのため、やむを得ず5段階もの工程を経る、無電解メッキ法で表面被覆を行っています。ここにもナノ粒子の凝集力が生かせます。
 この様に、ナノ粒子を使えば、多くの工程が省略でき、理屈上は画期的な省エネが実現できますが、残念ながら、上に述べたナノ粒子の凝集はごく近傍の粒子同士でしか起きず、現実の工程の様なバルクの世界では、この凝集力を十分に生かすことができませんでした。
 未だ実験室レベルでの製品化の段階です。皆様の手で、立派な大人に育てて下さい。絶大なるご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
令和元年 5月 1日

株式会社 伊東化学研究所
  代表取締役   伊東 巌
 これに対し我々は、熔融した金属中にナノ粒子を分散させ、加熱処理により凝集を起こし、金属アロイ(混晶)を造って固化することで、この凝集力をバルクの世界に引き出すことに成功しました。ナノ銀ハンダの誕生です。

 この様に、金属のナノ粒子が限られた空間内に膨大な数存在すると、粒子同士の衝突が頻繁に起きやすくなり、その金属が固有に持つ融点より遥かに低い温度で、しかも、発熱を伴う程の激しい力(エンタルピー熱?)で粒子同士が凝集して元の金属に戻ります。我々はその力を省エネに生かすことを考えました。

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